【ワンポイント根知識 vol.3】 『人工膝関節置換術(TKA)のタイプの違いがROMへ与える影響③』

今回は


『人工膝関節置換術(TKA)のタイプの違いがROMへ与える影響③』

です。

まず今まで紹介した2つのタイプを簡単にまとめると

CR型
不安定性や軸のブレなどが生じやすい→関節軸や軌跡をイメージしながら徒手的に介入する必要がある

PS型
関節運動はポストカム機構により安定するが、関節運動に伴う後方関節包などのインピンジメントに注意
→膝窩筋やハムストリングスの賦活が必要である

でした。

それぞれ特徴があり、一長一短があることを理解いただけたかと思います。
総合的にどちらが優れているのか、というはっきりとした結論はでていないのが現状です。

今回は、これらの特徴や両者を比較した報告や研究の一部を紹介します。

CR型
・PCLは温存されるが、前十字靭帯(ACL)は取り除いてあるため正常な関節運動が再現されにくく、多くは不規則な異常運動を示す
・固有受容感覚はPCLの有無で差はない
・CR型の利点は、その多くが理論上のもので実証したデータは存在しない

PS型
・ポストカム機構により再現性の高い運動パターンが得られやすく可動域も良好である
・回旋ストレスや深屈曲でのポストカムへの負担が大きく、破損や摩耗例の報告が散見
・ボストカムへのストレスは、特に荷重下での膝の深い屈曲にて大きい

両者の比較
・屈曲可動域は、
CR型は症例によるムラが大きいが、
PS型はムラが少なく安定
・長期成績は、PS型の方が優れた成績が報告されている

現在の傾向としては、手術手技の難易度や術後成績の安定性に優れるPS型の方が多く用いられている様です。
臨床では、主治医の考えや症例の状態に基づいて決定されることになると思います。

長くなりましたが、TKAの2つのタイプについてまとめてきましたり
これら以外にも細分化していけば様々な種類がありますので、この2つは大枠として捉えていただければと思います。


繰り返しになりますが、TKAはタイプによって関節運動の特徴がありますのでROMexでの留意点も異なってきます。
介入の際には、主治医等にタイプを確認して、その特徴を考慮して治療プログラムを立案していただければと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。