【第27回セミナーを開催しました】

今回は森ノ宮医療大学の工藤慎太郎先生にお越しいただき、足部、足関節についてお話しいただきました。

足部が大切なのはわかっているけど、詳細な評価をどう定量化すれば良いのか?どこを触ってどこが改善したのか?
この辺りはセラピストの感覚頼りで客観性や再現性がないのが現状ではないでしょうか。

講義が進むにつれ、上記のようにこれまで私達の中でも曖昧だった部分が明確になっていきました。

工藤先生にご教授いただいた知見は先生が緻密計画し時間をかけて研究したバイオメカニクスの知見やエコー所見に裏付けられており、どれも納得のいくものばかりで、

なぜそこを触るのか

なぜそこを評価するのか

なぜそこに介入するのか

なぜ良くなったのか

が解決されていきました。
どの「なぜ」も解決されるたびに臨床で試してみたいという思いが湧き立つようなお話しばかりでした。

受講された方からは

「研究データを元に臨床的介入を提示して頂けてとても参考になった」
「エビデンスを追求する考え方に圧倒された」
「根拠に基づいた評価・治療方法まで学べてよかった」

などの言葉がよせられました。


先生のお話の中で「インソールは靴と皮膚、皮膚と骨の間でもかなりズレるからね」という言葉も印象的ではっとしました。

工藤先生の足部の研究は日本ではあまり発表されておらず海外への発表が中心という事でした。そんな貴重なお話を1日たっぷり聞くことができて大満足のセミナーとなりました。

工藤先生、佐藤先生,受講された先生方ありがとうございました。


【講義内容】

運動器疾患に限らず、足部や足関節の機能障害は膝や股関節の機能障害に影響する。

しかし、

これまでの教えられてきた足部の運動学は、足にはアーチがあって、トラス機構とウィンドラス機構っていうのが機能して… とか、足部には多くのメカノレセプターがあって… とか、

『20世紀の中盤に提唱された理論』や

『予測にとどまった知識の半ば強引な結びつけ』によって説明されてきた感じが否めない。


私たちは足部の三次元解析と超音波を利用して、

アーチの低下した足への介入方法や歩行中や歩き始めの下腿三頭筋の動態を明らかにしてきた。

現在、これらの研究成果に基づいた運動療法を開発し、実践している。
そして、それらを利用するための評価の思考過程の可視化を試みている。


本講演では、
足部の運動学のアップデートを図りつつ、
1. 足関節の背屈制限に対する評価と運動療法
2. 足部アーチの低下に対する評価と運動療法
3. 足関節不安定性に対する評価と運動療法


の3点について、実技を交えて解説する。



【講師】工藤慎太郎 先生

【所属,職位】

森ノ宮医療大学 講師

形態学と運動学に基づく理学療法勉強会 会長

【最終学歴・学位】

鈴鹿医療科学大学大学院 医療科学研究科 

医療科学専攻  博士後期課程

【専門分野】

筋骨格系理学療法学,バイオメカニクス,運動学

【研究テーマ】

足部のバイオメカニクス,運動器疾患の応用解剖学,客観的動 作分析に基づく運動療法の開発

【関連リンク】

臨床バイオメカニクス・応用解剖学研究室

【主な所属学会・審議会等】

日本理学療法士学会、日本臨床バイオメカニクス学会、日本足の外科学会、コ・メディカル形態・機能学会、理学療法科学会、臨床歩行分析研究会、International Society of Posture and Gait Research.

【著書】

運動療法の「なぜ?」がわかる超音波解剖.2014.医学書院.東京
運動器疾患の「なぜ?」がわかる臨床解剖学. 2012. 医学書院.東京.
看護学生のための看護技術よくわかるブック.藤井徹也(編).関節可動域訓練.2012.メジカルフレンド.

【論文】

Reliability of the Transverse Arch of the Forefoot as an Indicator of Foot Conditions.Journal of Physical Therapy Science. May Vol. 24 (2012) No. 4 335-337.
コ・メディカル養成校における『解剖画像教材』を用いた授業とその効果.
 形態・機能. Vol. 6 (2007-2008)No.2 135-141

他多数

【研究業績】

The influence of the forefoot flexibility on the Medial Tibial Stress Syndrome. S.Kudo, Y. Hatanaka. Asia Pacific Knee Arthroscopy and Sports medicine Society. 2014. (Nara)
The flexibility of the transverse arch of the forefoot on the forefoot loading in the flat feet deformity. International Foot and Ankle Biomechanics. 2014. (Busan)
「臨床解剖学によるスポーツ障害の理学療法」 整形外科リハビリテーション研究会スポーツ支部にて講演.2013.10月
「臨床解剖学からみた膝関節の運動療法」 整形外科リハビリテーション学会三重県支部にて講演.2014.2月

【学会発表】

A comparison of the kinematics and kinetics of overground walking and a functional mobility task in healthy subjects.2013 2nd congress, International society of posture and gait researchにて発表

Does hallux compression force influences the gait?  

WCPT‐AWP&ACPT 2013にて発表

The development of measurement methods for flexibility of the transverse arch of the forefoot. 4th Asia society of Sport Biomechanics(2012) にて発表

超音波画像診断装置による固有背筋の観察.第47回 日本理学療法学術大会(2012)にて発表