6/25 千里リハビリテーション病院の吉尾雅春先生にお越し頂き「脳画像の見方と臨床展開」についてお話いただきました。

脳卒中の臨床像が書き換わった1日でした。

脳卒中患者さんの臨床像は50年以上変化していないと言われています。

とは言っても私達セラピストは日々の臨床に懸命に取り組み、休みの日ですら研修に時間とお金を費やして頑張っています。

でも臨床像は変わっていない。

なぜなのか?

それは私たちが患者さんのポテンシャルの限界を自らの経験に照らし合わせて形や動きだけで判断していることが多い事が理由の1つと言えるのではないでしょうか?

吉尾先生は脳画像を誰よりも詳細に、しかもセラピストの目線で読み解く事ができます。

それにより緻密に患者さんのポテンシャルを予測し、的確に介入する事ができます。

その事による効果は私たちの片麻痺の臨床像をはるかに上回るものでした。

受講された方からは
「今までの常識をそのまま鵜呑みにするのではなく画像からみて障害を捉えていく必要性を感じた」
「リズムよく物凄く多くの情報が入ってきたのが、不思議と理解が進んだ」
「セミナー費に対して内容が充実していた」
などの声が寄せられました。

発症後3年たっていても、介入が良ければぐんぐん機能回復できる方はたくさんいる。

吉尾先生のお話を聞き症例の動画をみさせて頂き、背筋の伸びる思いでした。

まだまだ私たちができていない事、やれる事はたくさんある。

ここから50年で脳卒中患者さんの臨床像が変わるようにセラピストの頑張りどころです。

患者さんのQOLのためにパラダイムシフトを起こしましょう!

吉尾先生、参加された皆さんありがとうございました。

実は
吉尾先生はまた来年も来てくださいます!

お楽しみに!


【講義内容】

セラピストは現象をみていく職業だから、画像を見る必要はない、という声を聞きます。しかし、現象の受け止め方や障害の理解はセラピストによって千差万別、現象の分析は必ずしも客観的とは言えません。その最たる手続きが歩行分析とアプローチです。現状のそれは熱が出たから解熱剤だけを服むということと同じようなものです。
そこに脳の画像が加わることでかなりのことが見えてきます。上肢の共同運動はなぜ起こるのでしょうか? そもそも共同運動とは何ですか? 半側空間無視患者が階段をうまく降りれないのはなぜですか? プッシング現象はなぜ起きるのでしょう??
脳卒中患者の歩行や現象の観察で気づかなかったことも、つまずいている脳のシステム障害の理解も、これからの可能性も、アプローチの仕方もです。セラピストの責任として、このくらいは理解しながら中枢神経疾患に関わらなければ、と思っていることを具体例を通しながら解説します。
このセミナーに参加したら、「片麻痺歩行」という表現はできなくなりますよ。

 


吉尾雅治先生
千里リハビリテーション病院副院長

医学博士

理学療法士

【略歴】

1974年 九州リハビリテーション大学校理学療法学科を卒業後、
      中国労災病院勤務。その後、兵庫・大阪の病院で理学療法士として勤務
 1988年~1995年 兵庫医科大学第一生理学教室研究生
1994年 札幌医科大学保健医療学部講師
1994年 大阪学院大学商学部卒業
1995年~2006年 札幌医科大学解剖学第二講座研究員
2002年 博士(医学、札幌医科大学 No.2089)の学位を取得
2003年 札幌医科大学保健医療学部教授
2006年 千里リハビリテーション病院副院長
2007年 死体解剖資格認定(厚生労働大臣 No.8105)

【専門分野】

専門理学療法士(神経 No.99-2-16、運動器 No.3-357、基礎 No.1-186)
認定理学療法士(脳卒中 No.3-13)

日本理学療法士協会 日本神経理学療法学会 代表運営幹事
学会運営審議員 および 元、脳卒中理学療法ガイドライン班長
理学療法ジャーナル編集委員

【著書】

 脳卒中理学療法の理論と技術 改訂第2版(メジカルビュー)、
神経理学療法学(医学書院)、
運動療法学総論第4版 および 運動療法学各論第4版(医学書院)、
股関節のみかたとアプローチ(DVD、ジャパンライム)  など多数