【第20、21回セミナーを開催しました】

セラピストの共通の目的は?

 

今回はセラ・ラボの山口光國先生にお越しいただきました。

「自分はエビデンスを重視している」

「自分は徒手的なアプローチで結果を出す」

「自分は運動療法で患者さんを変える」

セラピストには様々なタイプがあると思います。

 

何かに特化してそこを極めていくことは非常に重要なことです。

 

しかし、特化することに「固執」してしまうことで、患者さんに不利益な結果をもたらしてしまう可能性がある。


本当は別の方法のほうが患者さんは良くなったかもしれないのに、自分が固執するもので介入したがゆえに「治癒が遅延してしまった」「悪くしてしまった」ということも起こりうる。

 

人の身体を扱う恐さを再認識し、総合的に判断していくことがいかに大切かを教えていただきました。

 

そして、肩に関しては山口先生の手技の的確さとそのあまりの効果に唖然としてしまいました。

 

人の身体を操り人形の様におもいのまま、そしてとても自然な形で動かしてしまう。評価で動きの不自然を感じるとすぐさま自然な動きになるよう介入できてしまう。

 

これぞまさに「ゴッドハンド」という姿を見せてくれました。

 

そしてそれが「何をどう意識して介入している」から実現しているのかを説明していただき、「私たちも練習していけばあそこを目指せるんだ」という勇気を与えていただきました。

 

その1つとして運動の「量」を見るのではなく「質」をしっかり見ていく必要があるということでした。

 

受講された方からは
「総合的に判断することの重要性が分かった」

「明日から使える肩の技術を知れて良かった」

「良い意味で頭の中がぐちゃぐちゃになり臨床を見なおそうと思った」

などの言葉が寄せられました。

 

山口先生のようになるのには時間がかかる、あるいはそのレベルには到達できないかも知れません。

 

しかし、私たちは山口先生と同じ志を持つことはできます。

 

セラピストの共通の目的として「患者さんの治癒を目指す」ということを忘れてはならないということを強く感じた二日間でした。

 

山口先生、参加されたみなさんありがとうございました。



【講義内容】

セラピストにとって、本当に必要な技術は、「考え、意思決定する」という思考の技術です。

これは、どの様な役割においても、どの様な立場においても必要なことで非常に重要な技術です。

技術?と、疑問に思う方もいるでしょうが、これは、確かに技術と言えるものだと私は考えています。知識があっても、徒手的な技術があっても、あるいは、どんなに素晴らしい知識や技術であっても、使うタイミングと状況などを加味した、総合的判断力が伴わなければ、宝の持ち腐れとなってしまいます。

しかし、この「考え、意思決定する」と言う、総合的判断力を養う教育は過去も、現在もなされているとは言えません。

今回は、この総合的判断力がいかに大切となるか。そして、どの様にその力をつけて行けば良いか。ここに焦点を当て、話を進めたいと思います。

そして、机上ではない(押し付けではない)、実際の臨床に反映できる(実益性のある)、大切な技術に気づいてもらえる講義だと考えています。

 


【講義内容】

肩のセラピーにおいて、当然、肩の知識は必要ですが、その知識をどの様に活かせば良いか、あるいは、活かすためにどの様な情報を入手すれば良いか、そして、どうやったら有用な情報が得られるかが問題となります。

何をするかの前に、どの様な状態となっているかの判断が重要となるわけです。

それも、セラピストとして関わることが可能な事柄についての情報収集、つまりそれに基づく状態把握が大切となります。病態把握の検査結果は、リスク管理には利用できますが、それだけでは、適切なセラピー選択には不十分となってしまいます。また、可動域や筋力が把握できたとしても、それだけでは適切なセラピーを選択することはできないことが多いのではないでしょうか。

今回は、基本的な知識と、各知識の組み合わせにから得られる情報、さらに、実際に徒手的な対応から得られる情報、特に、上肢の扱い方について、確認して行こうと思います。

受講後、臨床で如何に大切な情報を見過ごしていたかに気づける講義になり、前日の「見えない技術」と合わせると、臨床での手順整理の一助になることと思います。


【講師】山口光國 先生

【所属】(株)セララボ

【資格】理学療法士 

【プロフィール】1961年生まれ 長野県出身  理学療法士
高校卒業後、日本サッカーリーグの日立製作所(現 柏レイソルズ)に FWとして入団。故障から21歳で引退し、都立府中リハビリテー ション専門学校に入学。卒業後、昭和大学藤が丘リハビリテーション 病院に入職し、身体運動を熟知したリハビリテーションの専門家 として治療にあたる。一般からプロスポーツ界まで幅広く対応し、 スポーツ界では野球はもとより、サッカー、テニス、ゴルフなど多く のジャンルのプレーヤーからの信 頼も厚い。 2005年からは、肩の故障で苦しんだ現役時代からの絶大なる信頼 関係のある牛島氏の要請を受け、横浜ベイスターズにフィジカル コーチとして就任。05、06年と肩の故障者を出さないという功績を 果たす。

2007年からは、多くのプレーヤーからの要望に応え独立。 また、昭和大学在籍中は同大学整形外科特別研究生として、整形外科 疾患、特に肩関節を専門に研究活動を行い、セミナー、学術集会で 講師を務めるなど幅広く活躍。日本理学療法士協会会員、日本肩関節 学会会員、アジア肩関節学会会員。さらに2009年に桜美林大学 大学院健康心理学修士課程を終了し、日本健康心理学会会員となり、 心身両面から対応についての研究に携わり、現在も研究を続け ながら一般、スポーツはもとより、医療従事者にむけての勉強会、 講演・セミナー活動も積極的に行っている。

 【著書】