【第18回セミナーを開催しました】

「リスクの先読み」

今回は文京学院大学の加藤太郎先生にお越しいただき、急性期の患者の状態とリスク管理について呼吸・循環の仕組みを交えてお話いただきました。

vital signの正常値や異常値は知っているし見ているという方は多いと思います。

では、なぜその数値が異常と言えるのか?

正常値に比べて異常だからでしょうか?

その異常値は生体内で何が起こっているから生じた「結果」なのでしょうか?

どこまで深読みできているでしょうか。

講義ではこの深読みをする為の知識をとことん臨床に落とし込んだものお話いただきました。

聞けば聞くほど臨床でのイメージが湧きやすく、どんどん話に引き込まれていきました。

受講された方からは

・生理学と臨床のつなげ方がわかりやすく、臨床に活かせると思った。今後は根拠のあるリスク管理を行っていける自信がついた。
・今までとっつきづらい分野だったが、「内部で何が起きているのか分からなくてこわい」と思っていたことがかなり解消された。
・今後はセーフティーのために考えるのではなく、起こすために必要なことを考えていきたい。

などの声が寄せられました。

とにかく明日から使いたい知識が満載でさした。

例えばROMエクササイズは血管抵抗を下げる。

つまり血圧低下を引き起こす可能性があるということです。

離床前に準備運動としてついルーチンでやってしまうROMエクササイズも実は起立性低血圧のリスクとなり得るようです。

このようにROM一つとっても呼吸・循環とは切っても切り離せないことがよくわかりました。

今回得た知識を生かしてリスクを先読みし、自信を持って急性期リハを行えるセラピストが増えてくれれば幸いです。

加藤先生、参加された皆様ありがとうございました。


 【講義内容】

近年、発症早期から理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が介入すること(以下;Therapy)

が増えています。急性期における早期介入には高いEBMがあります(ICUにおけるearly mobilizationなど)。しかし、早期介入を図るにも、急性期患者の多くは循環動態や呼吸状 態が常に不安定であり、我々がリスク管理の基準としている(ことが多い)「アンダーソン の改定基準」に従うと、Therapyが実施不可の患者が多くいます。早期からのTherapyはで きないのでしょうか?『深く読む』ことが大切です。

「なぜ、その患者は今、その血圧値、脈拍数、呼吸数なのか?」。

今回の研修会では、急性期におけるTherapyを実施する上でのリスク管理をテーマとし、 急性期患者の循環動態や呼吸状態をどのように読み、急性期の介入にどのように臨床応用 していくのかを中心にお話しさせていただきます。

Time Table
AM
1急性期におけるリスク管理―循環を学ぶ― PM 2急性期におけるリスク管理―呼吸を学ぶ―

 


【講師】加藤太郎 先生

【所属】文京学院大学

【資格】理学療法士,専門理学療法士(内部障害理学療法専門分野),保健医療科学修士号,3学会合同呼吸療法認定士,介護支援専門員(ケアマネージャー),地域包括ケア推進リーダー,介護予防推進リーダー

【最終学歴・学位】

保健医療科学 修士号

【主な経歴】

平成15年4月 特定医療法人 ジャパンメディカルアライアンス 介護老人保健施設アゼリア
平成18年4月 独立行政法人国立病院機構 東京医療センター
平成20年4月 独立行政法人国立病院機構 災害医療センター
平成24年4月 文京学院大学 保健医療技術学部 理学療法学科

【専門分野】

・急性期理学療法(急性期における人工呼吸器管理下患者に対する呼吸理学療法を中心に)
・運動器疾患の理学療法
・呼吸器疾患の理学療法
・蘇生教育,心肺蘇生法

【研究テーマ】

・呼吸運動時の皮膚挙動特性に関する研究
・アライメントと身体機能(静的アライメントと呼吸・体幹機能,動き)に関する研究

・蘇生教育,心肺蘇生法に関する研究

【主な所属学会・審議会等】

・日本理学療法士協会
・日本循環器学会(BLSインストラクター)
・日本救急医学会(ICLSインストラクター)
・日本臨床救急医学会

【著書】

88の知が生み出す臨床技術 ブラッシュアップ理学療法(共著,三輪書店,pp114-117.(2012.6))
ヤンダアプローチ-マッスルインバランスに対する評価と治療-(共著,共同翻訳,三輪書店,担当分(「第1章:マッスルインバランスに対する構造的アプローチと機能的アプローチ」,「第2章:感覚運動システム」 pp1-27.(2013.3))

【論文】
■原著
・呼吸運動時の胸部と腹部の皮膚挙動特性(理学療法科学,28(2):279-283(2013.4)
■調査・報告
・理学療法士における心肺蘇生に関する意識調査-認識度・学習意欲-(日本臨床救急医学会雑誌,16(2):95-98(2013.4)
■総説
・急性期理学療法のリスク管理-一歩進んだ循環動態評価と臨床応用-(The Journal of Clinical Physical Therapy,13:67-70(2010.12)
・急性期理学療法のリスク管理 その2-一歩進んだ循環動態評価と臨床応用-(The Journal of Clinical Physical Therapy,14:87-91(2012.10)
・急性期理学療法のリスク管理 その3-一歩進んだ循環動態評価と臨床応用-(The Journal of Clinical Physical Therapy,15:49-53(2013.4)
■特別寄稿
・体幹インナーユニットの機能と治療-骨盤水平面アライメントに着目したアプローチ-(理療,43(2):45-51(2013.8)
・超高齢社会が理学療法に与える影響(理療,44(1):3-7(2014.5)

 

【学会発表】
■筆頭研究;9篇 / ■共同研究;10篇

 

文京学院大学HPより